2019年03月

高知・池田秀一&古谷徹トークショー

~第5回全国漫画家大会議inまんが王国・土佐


── 高知へは初めてですか?
古谷さんは「まんが甲子園」や「まんさい」で何度か来ているとのこと
幻魔大戦の映画のキャンペーンで日本全国周ったときに高知にも来た


── 安室透はコミックに出た時から古谷さんが声をやることは決まっていたのか
古谷「青山先生はアニメになった時の声優の声っていうのは特に意識してないんですけど基本的には。
でも赤井秀一を池田秀一さんがやってるじゃないですか。
剛昌先生とにかくガンダムファンなんですよ。
鳥取の記念館には先生の学生時代のシャアのコスプレしている写真が飾ってある。
安室透という名前からしてアムロ・レイと古谷徹をくっつけてますし。
あとから公安警察の降谷零っていうのは考えたらしいんですけど、僕のことをあきらかに意識して下さって。
愛車のRX-7の73-10っていうナンバープレートも僕の誕生日ですから、最初からほぼ決めていたって感じですね」


── 三つの顔を演じ分け時に何か気を付けていることは?
古谷「構図は結構シンプルでして、要は公安警察の捜査官である降谷零が実体なわけですよ。
その降谷零が安室透も演じてるしバーボンも演じてるわけなんですね。
そこをしっかり自分の中で意識して演じ分けているんですけど、姿が見えなくてもセリフを喋っている声だけで、その3人のうちのどの顔なのかっていうのをわかるようにしたいと思っている。
なので、いちばんシャープで低い声を使って大人の男としてるのが降谷零。
爽やかな青年探偵で優しくてどっちかというと高い声を使うのが安室透。
バーボンは得体のしれない部分・ミステリアスな部分を出したいと思っているので、音は特に決めてないんですけど幅広い声を使い分けてやってます」


── どのように声優になったのか
古谷「5歳の時から児童劇団に入ってまして、母の勧めというか母の憧れの世界であって、顔を出して子役として映画やテレビに出たんですね。
10歳くらいの時に海外ドラマの吹き替え子供の役ですけどやるようになって、13歳の時に海賊王子という東映アニメの主人公のキッドという役をやらせていただいたんですね。
その次が15歳の中学3年生の時、巨人の星の星飛雄馬これオーディションでしたけど主人公やらせていただいて、巨人の星が終わって高校3年生で大学受験がありました。
その時にいた劇団ひまわりをやめまして、宮野真守とか後輩がいますけど、普通に大学生活をやってて、実際一生のお仕事なにやろうかなと考えた時に、巨人の星が自分にとってはすごく大きな勲章みたいになって大ヒットしましたんで、巨人の星で感じたお芝居の面白さ・難しさをもう一回チャレンジしてみようと思って。
プロダクションに大学卒業する前ですけど入りまして。
それから熱血ヒーローいっぱいやって、25歳の時にガンダムのアムロと出会いました」


── 声優としてやっていこうと決めたのは大学生の時だった?
古谷「その時は俳優の道というのも自分の中では捨てきれなくて、俳優か声優かっていうのは決めてなかった。
なので大学の後この世界に戻ってきましたけど、俳協というプロダクションに入って、俳協は両方やってるんです、映像と声の方と。
鋼鉄ジーグとかグロイザーXとかアニメーションの熱血ヒーローをやっていた時も、顔出しでお昼のメロドラマに出てたりとかしてました。
ガンダムは大きかったですね。
星飛雄馬って『父ちゃん俺は猛烈に感動している!』とか言うじゃないですか。
超ちから入れて言うんですけど、だからそのまま熱血ヒーローやると「やってやるぜ!」ってまた飛雄馬になっちゃって。
自分の中で違うキャラクターだから違う芝居をしなきゃいけないと思っていても、つい身体に染み付いた飛雄馬節みたいなものが出ちゃうんですよ。
飛雄馬は3年半くらいずっと力んでやってましたから。
このままではプロの声優としてやっていけないなと思っていた。
なんとか星飛雄馬から脱皮したいという思いがあった時に出会ったのがガンダムのアムロ・レイだったんですよ。
オーディションの時にこのアムロは熱血ヒーローじゃなくて戦いたくない主人公ですと、むしろこう引きこもり系だと、今でいうね、って言われて。
肩の力を抜いてボソボソ喋った方がいいんだろうな、普通の少年みたいに日常会話みたいに「ハロ今日も元気だね」って。ボソッと言うみたいな。
この役が自分の中で納得できて演じることができたら、両極端の役が演じられると思って。
そしたらプロとしてやっていけるんじゃないかと思って。
そういう思いをかけて臨んだ作品だったんですね。
おかげで大ヒットしまして業界のスタッフの人たちにも、熱血ヒーローだけじゃないんだ、ナイーブな少年もできるんだって浸透しましたし、僕自身の中でも自信ができた。
それでようやくアニメ声優1本でやっていこうと思うようになりました」


── ここで池田さん登場
池田「あ、どうもしばらくです」
古谷「あ、どうもしばらくですって、さっき餅いっしょに投げたじゃないですか(笑)」


── 池田さんは3倍飲むのが早いんですか?
古谷「3倍飲むのが早いというより量が3倍ですね」


── 池田さんは高知へ来たことは?
池田「高知は30年くらい前ですかね、舞台を芝居をやったことがあるんですよ。
なんか飲んだ思い出しか…芝居のことすっかり忘れちゃってますね(笑)
お酒が美味しかったことしか覚えてないです」


── どういった経緯で俳優から声優のお仕事をはじめられたのか
池田「最初の声の仕事は洋画のアテレコだった。ルーツっていう作品の黒人の奴隷の話で。
それがアテレコをやり始めたきっかけ。オーディションだった。
それから洋画の吹き替えを何本かやるようになって、それから5年後くらいにガンダムと出会った。
ガンダムの音響ディレクターの方と出会うことになって。その方もお酒が好きで。
飲んでるうちにアニメをやりませんかって言われ、いやーアニメってのは難しそうだからって、しばらくは逃げていたんですよ。
何べんも飲んでるうちに酔っぱらって面倒くさくなっちゃって、じゃあやらしてくれってなっちゃった」
古谷「そういうのってありますよね、飲んでて気持ちがいい時にマネージャーがいやな仕事をマネージャーから振られても「あ、いいよいいよ!」ってついうっかり言ってしまう。
マネージャーも知っていてそういう時間にわざと電話をよこす」
池田「でも昔は飲まなかったんですよね」
古谷「ガンダムの頃は全然飲めなかった。
ブライト役の鈴置さんと池田さんがガンダム終わったあと歌舞伎町に仲良く手をつなぎながら消えてゆくのを見送ってましたから」
池田「それで仲間でバカにしてたんですよ。お酒を飲んで友好を深めるっていうのがあまり好きじゃなかったっていう」
古谷「そうですね、別にお酒じゃなくてもジュースでも本音で話せるだろってちょっととんがってました」
池田「ガンダムの前のダイターン3が初めてのアニメ。
それに出て懲りたんですよ、あんまりひどいんで。アニメが難しいんで。
アニメはとてもじゃないけど僕にはできないと思っていたけど、飲み仲間の音響監督に今度ガンダムっていうのをやるんだけどオーディションやるんだけど来ないかってなって。
飲めるの?って聞いたら終わったら飲もうよって話になってじゃあ行くってなって」
古谷「酒目当てかよ!」
池田「オーディションではアムロもやった。あんまり覚えてないんですけど。
その時にシャアのキャラクターもあってこれは何?これもやらせてってなってついでに受けた。
それからしばらくてシャアでお願いしますって」


── 演じる時に大切にしていることは何ですか?
池田「そうですね、変な言い方ですけど何もやらないことですかね。
みなさんがやってくださるから…というか古谷さんとかうまい人たちがやってくれますから」
古谷「何も出ませんよ」
池田「だけど難しいのは、言っちゃ悪いけど周りが下手だとやりにくい。
周りの人たちがだめだと自分がやらなきゃならなくなる」


── 俳優とアニメの声優で演技の切り替えとかどうされていますか
池田「あんまり変わらないですね。シャアをやる時はシャアが出てきますからね。
赤井秀一もそう。別にどう変えようっていうのはないんだけど、そのキャラクターに面と対すると自然になれますね」


── キャラクターが憑依する?
池田「そうですね。この間青山先生の本がいっぱい売れたお祝いで、シャアザクをプレゼントしたいと。
秘密なんだけどそれに声を入れてほしいと言われて、その声をやったんですよ、シャアの声を。
シャアの声をやらしてもらったんですけど、その時のディレクターがコナンのディレクターなわけですよ。
僕も気が付かなかったんだけど、そのディレクターが『池田さんて赤井秀一とシャアで違うんですね』って言われて」
古谷「ははは失礼だなそれ(笑)」
池田「ああそうか違うんだって」
古谷「それまでそう思ってなかったんだディレクター(笑)一緒だと思ってたんだ(笑)」


── 池田さんと古谷さんの出会いはガンダムだった?
池田・古谷「そうですね」
古谷「ただ児童劇団の大先輩ですから。同じ劇団ではないですけど。
もちろん活躍されてたのは知ってましたし、僕が子役でチョイ役で出てた時にも池田さんは主人公やってらっしゃって、池田さんが主人公の作品をテレビで観てましたし。
泣かされましたからね、路傍の石とか」
池田「まだお酒飲んでなかったから」


── 演技の打ち合わせはお二人でしますか
池田・古谷「ないです」


── オリジンと1stの違いは?
池田「オリジンはアムロと会ってないですよね。
オリジンは安彦さんの世界ですから、富野監督が作ったものとはちょっと違いますよね」


── 監督によって演技指導は違うんですか?
池田「世界観が違いますから。でも富野さんも安彦さんも我々にはあきらめて何も言わないですからね」
古谷「もうお任せしてくる感じですね。言われても言うこときかないし」


── 赤井秀一とシャア、安室透とアム・レイ、それぞれ共通点はありますか
池田「僕は赤井秀一という役を頂いた時に何も知らなかったんですよ。
青山先生がガンダムファンだということも知らなかったし。
最近ですよ。6年前かな、青山先生と飲んだりする機会があってそれを言われて。
だから最初はなにも知らなかった。
でも役名は赤井秀一だから変だなとは思ってました」
古谷「変だなって気づきましょうよ(笑)
アムロとシャア、安室と赤井っていうのは似てますよね。
それぞれどっちかというと正反対の性格っていうかキャラクターになってると思いますね。
やっぱり大人じゃないですか、池田さんがやってる役が両方とも。
安室は大人でクールなキャラに見えますけど根に持ってる情熱は結構熱いんですよ。
結構感情むき出しになったりするわけですよ。
そういうところはアムロに近いと思いますし、演じれば演じるほどあっそうなんだって思いますね。思い当たります」


── キャラクターに自分の近い部分はありますか
池田「それはシャアに対して赤井に対して失礼ですよ、こんなやつじゃないですから。
お酒は割と嗜むと思いますがきれいな飲み方をすると思いますよ。
どうやって帰ってきたんだろうってそういうことはないと思いますから。二人はね」

~ここで純黒の悪夢(ナイトメア)のワンシーンの生アフレコ

~客席からのリクエスト・質問大会

── 1st、Z、逆シャアの演じ分けを教えて下さい
古谷「アムロの場合は15歳ですからね。
まだ世の中のことをちゃんとわかってない感じの、すごくピュアでストレートな感じで、そのへんの少年らしさを意識してました。
Zの時は1年戦争でかなり悲しい出来事を体験して、ニュータイプであるがゆえに連邦の脅威にもなって幽閉されてたので、戦う気がまったくなかった。
宇宙に上がるのが怖いってセリフもあるくらいで。
なので僕はZのアムロはあまり好きじゃないんですけど、ただ15歳から23歳になったのでいろいろ体験もしただろうと。
ということで多少大人のニュアンス、それと怖さを知った男として。
逆シャアは29歳で自分に部下がいる存在になったので、完全に大人の男として、自分の意思を貫き通すという強い意思をもって信念をもってシャアと戦うっていう、そういうところを意識しました」
池田「僕は基本的に変わらないですね。変えるっていうか変えられないっていうか。
だんだんシャアの方が年齢も上がってきますし、自分の年齢が近づいてきたらそれなりにやりやすくなっていったいうか」
古谷「どの時のシャアが一番好きですか?」
池田「ファーストがやっぱ好きですよね。安彦さんが好きなのかな。絵がね」
古谷「オリジンの方は?」
池田「安彦さんは現場に戻らないって言っていたのが総監督をやってくれて関わってくれたのが。
やっぱ素敵な絵ですよね」
古谷「そうですよね。ぜひあの続きをやってほしいですよね」


── 池田さんと古谷さん自身が好敵手だなと思う場面と同志だなと思うことがあれば教えて下さい
古谷「ライバルねーうーん、
おかげさまで僕も少年役から青年役の方に移行してきまして、それでもどうしてもホットなキャラクターを演じることが多いんですよね。
池田さんはやっぱクールなキャラクターを演じることが多くて、そこはたどり着けない。
できればクールでライバル的に例えばオーディションで競うようなのにチャレンジしたいなと思いましたね。
今のところ負けてますが(笑)それは認めますが(笑)
同好の士という部分では日本酒じゃないですかね」
池田「最近古谷さんがゴルフを始めてですね、10年くらい経つのかな、僕はもう30年くらいやってるんですけど。
最初は馬鹿にしてたんですよ、でもね最近侮れないの。負けることもあってね。ちょっと悔しい今日この頃です」

── 『異次元の狙撃手(スナイパー)』の「了解」というセリフをお願いします
池田「あれはね楽させていただいて、置鮎君がやってくれたのかな」
古谷「はい沖矢昴」
池田「さんざん彼に喋らせといて最後だけね、赤井のセリフになってね」
古谷「ギャラ泥棒っていうんですねそういうの」
池田「ギャラ泥棒っていえばだいぶ昔ですけどコナンでね、赤井がタバコを吸うシーンがあって、タバコを吸って息を吐くんですよ。それだけなんですよ」
古谷「うそ!?息ひとつだけ!?そんなの誰か代わりにやれよ(笑)」
池田「それで何もないわけ。何もないから、ふーって吹いたら音響ディレクターが『すみません、池田さんってわかるようにタバコを吸って下さい』って」
古谷「それ難しいっすね(笑)」


── 最後に声優を目指している未来の若者にひとこと
池田「ご苦労様です。最近の声優さんってのは大変だと思いますね。踊ったり歌ったり頑張って下さい」
古谷さんは声優を目指している人向けのメッセージは池田さんと同じと前置きをして、漫画家を目指している人に向けてメッセージ。
漫画家になってヒット作を生んで、アニメ化になったら僕をキャストに呼んでください、とコメントしてトークショーおしまいでした。